パンデミック中に旅行に行けなかった人々が旅行に出た結果、2023年の旅行業界は回復を遂げました。(2023年版 旅行トレンドガイドでこのトピックは詳しく取り上げています)しかし、この傾向は2024年中も継続するのでしょうか?旅行者はインフレの影響をまだ受けており、さらにSNSなどにより人気になった旅行先も多く、これからも様々な変化が予測されます。
このガイドでは2024年に旅行業界に影響を与えている6つのトレンドについて解説していきます。常に旅行をしている人たち(デジタルノマド)、そして旅行・ホスピタリティ業界でデジタルノマドがどのようなトレンドを作り出しているかについても掘り下げていきます。
1. ハウススワップ
多くの人が旅行先を選んだ後にまず行うのは、宿泊先の確保でしょう。ホテルの部屋を予約する代わりに、2024年の業界トレンドのひとつとして「ハウススワップ」(または「ホームスワップ」)があります。
ハウススワップとは、旅行先に住んでいる人と自宅をスワップ(交換)することです。あなたは旅行先にある相手の自宅に滞在して、逆に相手はあなたの自宅に泊まるのです。新型コロナウィルス感染症の世界的流行の終わりとともに、ハウススワップの概念は多くの人に注目されるようになりました。
コンデナスト・トラベラーによると、ホームスワップ プラットフォームのKindredを利用した2023年の延べ宿泊人数は2022年と比べて7倍も増加しました。さらに、AirBnBや従来のホテル宿泊の費用が高まる中、Kindred利用の上昇傾向は2024年も続くだろうと予測しています。
2. オフシーズン期間中の旅行
オフシーズンに旅行をする観光客は、航空券からホテル宿泊費やアトラクションまで、かなりの額を節約できます。繁忙期を避けて旅行をすると、混雑を避けられるだけでなく、より快適な気候を楽しめる場合もあります。
検索データによると、7月と8月に旅行を計画している人たちと比べると、5月と6月に旅行を計画している人たちによる検索が増加しています。この傾向には、SNS上の金融インフルエンサーが旅行費用の節約を促している、子どもがいない旅行者が学校の休みに縛られずに旅行をできる、などいくつかの要因があるでしょう。
オフシーズン期間中の観光客の増加は、ホスピタリティ業界全体によい影響を及ぼす可能性があります。2024年に人気の旅行先は以下の通りです。
• オールボー(デンマーク)
• メリダ(メキシコ)
• バンコク(タイ)
• ドウロ川(ポルトガル)
• アンボセリ国立公園(ケニヤ)
• カンパニア州海岸(イタリア)
• ニルペナ・エディアカラ国立公園(オーストラリア)
3. クライメイト・コンシャスネス(気候についての意識)
無視できない観光業のトレンドのひとつは、サステナブル(持続可能)な旅行です。この場合、ホテルの予約から交通手段の選択まで、クライメイト・コンシャスネス(気候についての意識)という視点で考えます。旅行者らは「旅行をする上で、どのように自分のインパクトを最小限にできるか?」と考えるのです。
BBCの報告によると、消費者の9割は旅行の際にサステナブルなオプションを求めています。旅行と仕事に大きな時間を費やす人たちは、ライフクオリティ指標が高く、かつサステナブルな生活が(可能で)歓迎されていて旅行先を選ぶことをとても重要に考えています。
BBC発表の2024年の持続可能な旅行先リストにシンガポールとオーストラリアが含まれていて、我々は嬉しく思います。コンパスオフィスは、フレキシブルなワークスペースをこれら2か国でも運営しています。
4. ガストロノミー・ツーリズム
美食体験をするために、観光客は何時間も列に並ぶことがあります。SNSでバズったCédric Grolet(セドリック・グロレ)氏のクロワッサン・ベニエをパリで食べるには、最低でも30分の待ち時間が必要でしょう。でもオンラインの口コミによると、待つ甲斐はあるようです!イタリアでのパスタ作りやタイでの屋台ごはん体験も、2024年に再度人気が高まることが予測されています。
世界中の旅行先での主要なアトラクションは、食に関するものに変化しています。SNSの影響もあり、旅行者はストリートフード、レストラン、その地域独特のフルーツなど、世界中の様々なごちそうを楽しんでいるのです。
ホテルは宿泊のためだけでなく食事も提供できるので、飲食業界と重複するサービスを提供する旅行業界と共に、この食中心のトレンドから恩恵を受けています。
5. 無計画に気ままに楽しむ
旅行期間中に細かいところまですべて事前に計画・管理するという旅行の仕方は、いまや主流ではありません。何ヶ月も前にホテルを予約したりはせず、無計画に気ままに楽しみたいと思う人たちが増えているので、ホスピタリティ業界はそのような観光客のニーズに合わせる必要があるでしょう。
アメリカンエクスプレスは2024年にミレニアル世代、Z世代、X世代、団塊世代の「スポンタニエティ(自然発生性)」についての態度を調査しました。その結果、全体的にミレニアル世代とZ世代は、年上世代より自然発生的に物事を行っていることが明らかになりました。本調査のデータによると、飲食、買い物、ナイトライフの3つの主要なエリアでスポンタニエティ(自然発生性)が重要視されていて、ホテルと宿泊についてはより予測可能で安全なものが求められています。
6. 一人旅
2024年の旅行業界のトレンドとして最後に挙げるのが、ひとり旅です。特にミレニアル世代はソロ旅行、セルフケア、そして健康と自然に集中した「サイレントトラベル」を好む傾向があります。このような旅行客は、静かな休暇、バケットリスト(死ぬまでにやりたいことリスト)の項目を実行する時間、自分自身に集中する機会を求めているのです。
この場合、品質が重要になります。たとえば、上記のような観光客は一人旅に適したホテルの部屋を予約する傾向があります。女性の場合、女性のみの空間やツアー、または一人旅行者向けのグループツアーを希望する人もいます。少し費用がかさんでも構わないと思っている旅行者も少なくありません。アメリカンエクスプレスによると、団塊世代の回答者のうちの43%と比べて、ミレニアル世代とZ世代の66%が、旅行をアップグレードするために追加費用がかかっても構わないと答えています。
ホスピタリティ業界にとって、これは格安旅行やグループ割引を求める傾向から、安全に一人旅をする空間および豪華なオプションを求める傾向への変化を意味します。
デジタルノマドの生活様式
米国のダイレクトソーシング プラットフォームによると、2019年以来、アメリカの労働者のうち自らをデジタルノマドと呼ぶ人の数は131%増えました。この文化的変化は世界中で見られる傾向です。休暇の時だけ旅行をするのではなく、毎日の生活の一部として世界を旅行したいと考える人が増えているのです。
オフショアコンサルティング会社によると、デジタルノマドの間で人気な旅先は以下の通りです。
• コスタリカ
• ジョージア
• タイ
• マレーシア
• ポルトガル
• シンガポール
• アラブ首長国連邦
身を落ち着け、家を購入して、昔ながらの生活を営むのは、多くの人にとって手の届かないことになってきています。2024年を生きる若者世代はこれらのマイルストーンを達成することに集中するのではなく、キャリアを築き、世界を旅することにエネルギーを費やす傾向があります。
ただし、お手頃価格の航空券からホテルの予約まで、デジタルノマドとして生活を謳歌するには、まずやらなければいけないことが沢山あります。デジタルノマドは定住拠点を持たないという特徴がありますが、仕事をする上での拠点は必須です。そんな時、フレキシブルなオフィススペースは非常に役に立つでしょう。
フレキシブルオフィススペースはプロフェッショナル仕様に特化したオフィススペースなので、デジタルノマドとして生活する際に活用することをおすすめします。フレキシブルなオフィス空間は都市の中心部に位置するため、仕事をしながらノマドとして余暇を楽しむには最適です。
フレキシブルなオフィススペースおよびデジタルノマド向けの宿泊施設の増加は、2024年に予測されるトレンドのひとつでもあります。
まとめ
ひとり旅、スポンタニエティ(自然発生性)、従来の観光アトラクションではなく食への興味。これらの事柄への人気が、今年は高まっています。同時に、消費傾向にも変化が現れています。ぜいたくな体験をするために、出費を増やしても良いと感じる旅行者もいるでしょう。ただし、旅行の費用を抑えるためにハウススワップをしたり、オフシーズンに旅行をしたりすることも検討する旅行者も少なくないでしょう。
2024年はデジタルノマドとしての生活様式がトレンドにもなっています。世界中で旅をしながら仕事をする人は増えており、彼らは素晴らしい旅先とフレキシブルなオフィススペースを求めているのです。