日本も含め世界的に将来性が期待されている分野、医療・ヘルスケア業界。その中でもフェムテック関連の起業や投資に注目が高まっています。
急速な高齢化の課題、DX 推進というニーズが高まっている日本で今注目されるフェムテック産業について市場規模の動向や日本のフェムテック製品例を踏まえて解説します。
フェムテックの定義とは?
近年急速に市場が拡大している注目分野フェムテック。
フェムテック(Femtech)は、「Female = 女性」と「Technology = テクノロジー」の 2つを語源とする造語です。女性の健康、ウェルネスの課題をテクノロジーを使って解決するサービスや製品を意味します。
フェムテックは誕生してわずか数年の新しい言葉で、デンマーク出身のイダ・ティン氏によって 2016 年に初めて使われました。イダ・ティン氏は月経サイクルを記録するアプリ「Clue」を 2013 年にドイツで創設した女性 CEO です。
欧米でのフェムテック関連市場の高まりを受け、日本でも 2021 年にフェムテックが流行語大賞にノミネートされ、2022 年日経トレンディのヒット予測にも 10 位にランクインしました。
日本のフェムテック市場規模の推移・動向
世界のフェムテック市場規模の動向は、2020 年に 225 億ドルを記録し、2027 年までには 650 億ドルに伸びると予想されています。(参照: Femtech Market size by GMI)
日本のフェムテック市場規模の推移は、2020 年およそ 597 億円(前年比 103.9%)を記録し、2021 年は約 636 億円(前年比 106.4%)と増加。(参照: 矢野経済研究所フェムケア&フェムテック市場規模)
世界でフェムテックの成長が予測されると同様に、日本でもフェムテックによる経済効果は 2025 年までに約 2 兆円に迫ると見られています。経済産業省の経済に与えうるインパクトの考察によると、フェムテックにより女性が活躍できるようになる経済効果試算は、月経分野:約 2,400 億円/年、妊娠・不妊分野:約 3,000~5,000 億円/年、更年期分野:約 1.3 兆円/年となっています。
なぜフェムテックが注目?推進の背景
これまでタブーとして扱われてきた女性の身体の課題が、新しいビジネスチャンスの領域として起業家および投資家に注目されている背景は何でしょうか?背景にはいくつかの理由があります。
- テクノロジーの進歩
- ジェンダー平等の意識向上
- 政府のフェムテック支援
月経や不妊、更年期の体調の変化など女性の健康は年代ごとに様々な悩みがつきません。女性の社会進出が進み、日本政府が「女性が働き続けられる社会」を目指しているように、女性の心身の健康は以前に増して重要視されるようになりました。
特に日本では、出生率の低下、少子高齢化が大きな課題です。そのため女性が働きやすく、生きやすくなるためにテクノロジーの活用は必然となっているのです。経済産業省も「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」を設け本格的に支援を始めています。
また SDGs で掲げられている「ジェンダー平等を実現」「全ての人に健康と福祉を」という点でもフェムテックは重要な役割を果たすと期待されています。課題解決はビジネスチャンスになるため起業家・投資家もますます注目している背景があります。
年代別に便利なフェムテック製品例
日本の企業が開発、販売しているフェムテック商品やサービスの例を見ていきましょう。
月経、不妊・妊娠(10 代〜40 代)
・月経カップ・吸水ショーツ - 従来の生理用品のかぶれや漏れ、取り替えなどの悩みを解消。洗って再利用可能。
・ルナルナ - 20 年以上の実績がある老舗サービス。妊活のサポートにもなるアプリ。
・ケアミー - 生理や妊娠の不安をチャットで相談できる生理管理アプリ。
・スマルナ- ピルのオンライン診察と処方サービス。
育児(20 代〜)
・Piam. - 仕事と家庭の両立を目指す女性の復職支援アプリ。
・じょさんしONLINE - 妊娠・出産・育児をサポートするオンライン講座や個人相談サービス。
乳がん(40 代〜)
・COCOLY - ベッドにうつぶせになるだけで検査が終わる乳がん検診用装置。
・ドゥイブス・サーチ - “痛くない・見られない・精度が高い・放射線被ばくゼロ”の無痛MRI乳がん検診。
更年期(40〜50 代)
・よりそる - 更年期障害の症状を共有するアプリ。 NHKで取り上げられ話題に。
尿もれ(30 代〜)
・ウェルドライ - 繊維メーカーが開発した高機能尿もれショーツ。
脱毛(20 代〜)
・VIO 脱毛器 - 美容目的だけでなく、介護に向けた衛生面のケアとして自分でできるコンパクトなセルフ脱毛器。
フェムテック起業前に知っておくべき 4 つのポイント
フェムテックは日本政府も後押ししているように需要と必然性があり、新しい事業を始めるチャンスといえます。
働く女性のライフスタイルは目まぐるしく変化しています。タブーだったものがオープンに話せるようになってきた今、求められるサービス、トレンドの動きを素早く察知することが重要です。スピードと柔軟さが求められるフェムテック起業には、素早さを重視するアジャイルワーキングがキーとなるかもしれません。
例えば月経といっても、月経痛、生理不順、経血の漏れやかぶれ、PMS、妊娠や不妊など、細分化された悩みがあり複雑です。潜在的な課題解決には、多様な視点と試行錯誤が求められます。
フェムテックは初潮から更年期まで幅広い年代がターゲットとなりますが、10 代 20 代にアプローチできると先の長い消費行動に関わることができます。スマホに親しむデジタルネイティブ世代が SNS で共有したくなるような発信を意識する必要があります。
今まで共有されにくかった悩みだからこそ、同じ悩みをシェアできたり情報共有できる場を求めているユーザーは少なくないはずです。商品の提供のみでなく心理的安全が確保されて話ができる場の形成も顧客のファン化に繋がります。
まとめ
少子高齢化が喫緊の課題である日本で 5 兆円の市場規模と期待されるフェムテックは、これからますます起業家・スタートアップの活躍が注目されています。
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