経営やマーケティングの話題でよく耳にする言葉「ESG(環境・社会・ガバナンス)」は、企業の成長が持続可能かどうかを見る上で一つの重要な指標となっています。ESG への配慮が国内外から注目されており、ESG の取り組みを行う企業は、投資家にポジティブな印象を与えます。
この記事では、改めて ESG とは何か、SDGs との関係、ESG の課題や取り組み事例を紹介します。日本の中小企業が ESG 経営により、より優れた業績を達成し、長期的な社会的利益を生み出すにはどうすればよいかを探っていきます。
ESG とは
ESG とは、Environment / 環境、Social / 社会、Governance / ガバナンスの 3 つの頭文字をとった言葉です。企業が積極的に環境や社会問題などに取り組み、経営の透明性や情報開示を行うことを意味します。
● Environment / 環境
再生可能エネルギーを活用する、二酸化炭素排出削減、産業廃棄物の削減など地球温暖化対策に取り組む。企業も環境課題に取り組むことで長期的な発展につながり、世界の持続可能な発展に関わります。
● Social / 社会
性別や国籍による差別をなくし、人権問題への配慮、多種多様な人々を積極的に雇用するダイバーシティを推進する。労働者に対して柔軟な働き方を提供しているか、地域社会への貢献活動などが取り組みのポイントです。
● Governance / ガバナンス
日本語では「企業統治」と訳され、企業の経営におけるリスク管理や安全性の確保するために監視・統制する仕組みを指します。不祥事を予防して公正な運営がなされ、企業の収益力を強化する目的があります。これらの情報が開示されているかが重視されています。
この 3 つの観点に基づいて経営を行うことが、企業のサステナビリティを重視したより良い経営、ESG 経営と言われます。
ESGとSDGsとの関係・違いは?
ESG と SDGs は、環境や社会問題などに取り組む点で共通していますが、ESG はガバナンスが含まれるのに対し、SDGs はより広範囲で細かな 17 の目標がたてられています。
また、SDGs は国連のサミットで決められ、国や企業すべての人が取り組む目標であるのに対し、ESG は企業が成長していくために重視される要素という違いがあります。
企業が ESG に取り組んでいると、SDGs に含まれる一部の目標達成にも貢献できるため、ESG と SDGs はセットで取り組むべきと考えられています。
日本の中小企業の ESG への取り組み
ESG について大企業は取り組みを積極的にアピールしていますが、中小企業は課題がある状態です。
「中小企業経営者の実態 For Social Value」 によると、日本の中小企業の ESG に対する取り組み状況はわずか 5.8%、ほとんどの経営者が「取り組んでいない」と答えています。
中小企業が ESG に取り組んでいない理由の多くは、
- 対応する時間がない
- どうすればいいかわからない
- 対応する人材がいない
と課題が挙げられています。
SDGs は取り組んでいると 24.9% の経営者が回答しているのに対し、ESG の取り組みは 1/4 と低いことがわかります。
中小企業が ESG に取り組むメリット
ESG に取り組むにはコストがかかりますが、長期的にみると大きなメリットがあります。
・資金調達に有利に働く( ESG 投資)
ESG 投資家は売上高など数字で見える実績以外にも、ESG の情報を重視しています。ESG に取り組む企業は、持続的成長や中長期的収益につながると考えられているため、投資家にアピールできます。銀行でも ESG スコアと言う判断基準を用いて、融資の優遇を行なっているところもあるとされます。
・企業のリスク管理になる
ESG に取り組むことは、社会問題や環境破壊につながるマイナス要素を排除できるきっかけとなります。昨今は企業の倫理観や社会貢献がより注目されています。
・ブランド力の向上
環境や従業員にやさしい企業、地域・社会に貢献している企業としてアピールできることは投資家に対してだけでなく、顧客へ良い印象を与えると同時に、優秀な人材獲得にも役立つでしょう。
ESG に関する取り組みは、元は投資家を意識した取り組みですが、積極的に公表して、取り組みをアピールすることが企業の持続可能な成長にとってメリットになることがわかります。
中小企業が取り入れられるESG経営の取り組み事例
中小企業の ESG 経営取り組み例:
[事例 1] 株式会社 mog
ワーキングママのキャリア支援に特化した人材サービスを提供する 2019 年創業のスタートアップ企業。転職支援サービスやボランティア活動を通したキャリアデザインプログラムを通して、女性活躍社会の実現・誰も取り残さない社会実現に取り組んでいます。
[事例 2] 明和工業株式会社
石川県の農業関連事業を行う中小企業です。明和工業の強みである有機ゴミを農業用やエネルギー用の炭にする「バイオマス炭化装置」技術を活かし、有機ゴミを炭として再資源化することで、代替燃料として違法伐採・森林破壊にアプローチしています。
このほかにも、正規・非正規従業員に関わらず待遇差なく最適な労働環境を整える、人事制度の改善、従業員同士が支えあえるコミュニティの醸成などの取り組み事例もあります。
まとめ
ESG の重要性を日本企業はさらに認識しており、ESG がステークホルダーから信頼を得るために必要不可欠であるという意識が浸透しつつあります。現時点ではESG の具体的な取り組みをしている中小企業は多くありませんが、身近な従業員の労働環境やオフィスを整えることが環境や社会に対する取り組みの第一歩となるかもしれません。
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